われわれ全日本同和会は日本国憲法の精神に則り、全国民の反省と自覚及び実践によって、国の責務であり同時に国民的課題である同和問題の完全解決のため、自主的且つ積極的に運動を行う団体である。
特措法失効後、「一般対策」となり、人権教育啓発推進法が存在するにも係らず、あたかも法的根拠の存在を否定するかのようになされてきた同和行政・人権行政であるが、こうした状況を打破するかのように部落差別の解消を目的とした「部落差別の解消の推進に関する法律」が恒久法として、2016
年(平成28年)12 月16 日公布・施行され、「現在もなお部落差別が存在する」と国が認めてから2 年が経過しようとしている。
また、同法は罰則規定のない理念法であり、被害者の救済に関しては触れら
れていないことから、見直しの余地があるものと推考する。
今後、基本・運用方針が策定され、教育啓発活動・相談活動・実態調査が実施されるにあたって、同法をわれわれの運動で発展させなければならない。同時に「部落差別解消推進法」を家庭教育・学校教育・社会教育を通じて、行政
と共に広く周知していくことがわれわれの責務である。
われわれは部落差別解消推進法を具現化せずして、課題も解消も生まれないと言うことを肝に命じ、同法を拡大解釈せず、適正に運用し、付帯決議を踏まえた上で過去の反省に立ち、部落差別の一面的強調に陥ることなく、運動を推進する。
また、行政の同和問題に対する認識、取組みの衰退傾向に歯止めをかけ、また、新たな差別を生まない教育啓発・相談体制・実態調査を行政に対し協力・意見具申し、同法を強化するのではなく、国民的課題とし、全国民的運動にしていかなければならない。
更に、同和問題の解決には人権の本質を捉えた対策が必要であり、人権を抽象的なものにせず、先達より引継がれてきた「子らにはさせまいこの思い」、このスローガンに込められた思いを実態として捉えた対策を行い、実践・継承し
ていかなければならない。
よって、国並びに地方公共団体と協同協力し、全日本同和会の運動姿勢である「対話と協調」を基軸に部落差別解消推進法を真に実効性を伴った具現化を実現すると共に、明るく活きる社会の実現のために、今後もより一層、運動に邁進していくことを、ここに宣言する。
平成30年11月1日